この記事では、ヨガ入門編として「ヨガ哲学」とはどういうものか解説します。「ヨガとは何か?」「日々、不安や孤独を感じる」「自分の生き方を見つめ直したい」と考えている方にとって、ヒントになる内容かもしれません。ぜひご一読ください。
ヨガ哲学とは
まずは、「哲学」とは何かというところから見ていきましょう。
各人の経験に基づく人生観や世界観。また、物事を統一的に把握する理念。
goo辞典
哲学とは人生観であり、ヨガ哲学を深めることは、ヨガを通して自身の人生観を考えることといえるでしょう。
ヨガ哲学と真我
ヨガとは悟りを開く過程であり、健康法であり、哲学でもあります。「ヨガと筋トレはどう違うのか」という疑問を持つ方も多いのでは。その問いに対し、「ヨガには哲学がある」と答えることができるでしょう。
そしてヨガを続けヨガ哲学を深めていくことで、「真我(=本当の自分)」に気が付くことができます。
真我・・・本来の自分
ヨガ哲学を活用していくために、まずは本来の自分を知りましょう。本来の自分を知ることで、身に起きている苦悩や不安などから解放される近道になります。ヨガ哲学は、自分を知り、明るく生きるための考え方であるともいえるでしょう。
ヨガ哲学とインド思想
ヨガの起源であるインドの思想には、非常に多くの哲学があります。ヨガも、その学派の一つといえます。
インド思想の根本には、「解脱」があります。インド思想には、「人間は何度も生まれ変わる」という「輪廻転生」の思想があります。その、永久に続く輪廻から抜け出すことが「解脱」です。
輪廻転生の業から解放されるには、心が穏やかでリラックスしている状態になる必要があるでしょう。日々の悩みや不安から解放され、本当の自分を目指すヨガに通づるものがあるといえるのではないでしょうか。
ヨガ哲学と「ヨーガ・スートラ」
ヨガ哲学を理解するのに欠かせないのは、インドの聖典『ヨーガ・スートラ』です。
この聖典は、インド哲学の一つである「サーンキヤ哲学」をベースに書かれています。サーンキヤ哲学とは、多元的二元論です。「魂」と「身体」が分かれている状態でないと悟りの境地に達せられないというもの。
『ヨーガ・スートラ』では、瞑想で集中し、本来の自分とは何か、自分はどう生きるべきか、心の内側から探っていく方法を知ることができます。
ヨガ哲学と瞑想
ヨガとは、「ポーズ(アーサナ)」をとるだけではなく、ポーズ最中やその後の瞑想も非常に重要です。瞑想で自分の内側に没頭することで、より本来の自分を知ることができるでしょう。
瞑想で大切なのは、座法です。まずは自分の楽の姿勢で座り、背筋を伸ばしましょう。座るのは椅子でも、床でもかまいません。そして、自分の呼吸へと意識をむけ、周囲への意識と切り離していきます。
ただ座っていると、初めはあれこれと思考が襲ってくるかと思いますが、気にせず流してしまいましょう。呼吸に集中し、それ以外のことが気にならない状態になればベストです。
瞑想の座法
瞑想をより深めていく際の座法は、いくつか決まりがあります。初めは自分が一番リラックスできる座り方で良いのですが、慣れてきてより深い瞑想状態を味わいたい方は、ぜひ下記のような座法を実践してみましょう。
蓮華座
不動の下半身を作る座法です。両方のお尻(坐骨)に体重をかけて座り、両足を太腿の上に乗せて組みます。座る際、左右のお尻に均等に体重がかかるよう意識しましょう。
半蓮華座
蓮華座の要領で、片足のみ太腿の上に組みましょう。ある程度不動の状態を作り、心身に安定をもたらします。
正座
足を揃え、足裏にお尻を乗せます。背筋を伸ばしやすい座法で、精神的に安定しやすいとされています。
安座
身体に足を近づけ座る座法です。膝が床から上がらないよう、初めはお尻や膝下に毛布などを敷くと良いでしょう。
ヨガ哲学を日常に取り入れる
ヨガ哲学を日常のあらゆる場面に取り入れることで、穏やかで心が安定した毎日を送ることができるようになるでしょう。以下、シチュエーション別のヨガ実践方法をご紹介します。
イライラする
無性にイライラしてしまうときは、無理に自分の心をコントロールすることをやめましょう。そして、深い呼吸を繰り返します。ゆっくり息を吸い込みお腹をふくらまし、少しずつ息を鼻から吐き、お腹をへこましていきます。
呼吸を整えることで自律神経が整っていきます。また、苛立ちなどの「情動」をつかさどる大脳辺緑系の興奮が収まり、前頭葉の働きが促され冷静さを取り戻せるようになるでしょう。
焦ってしまう
焦りで動きがせわしなくなったり、不安にかられてしまったりする場合は、「知足」の概念を思い出しましょう。ヨガでは「サントーシャ」といいます。これは、「足るを知る」という意味です。
足るを知る(たるをしる)
身分相応に満足することを知る。足る事を知る。
goo辞書
つまり足るを知るとは、現在自分が持っているものや環境を肯定的に考え、現状に満足し感謝するといった言葉です。
この「知足」の考えを踏まえながら、「感謝の瞑想」を行うことで、より焦りの感情が収まります。これは、自分の現状に感謝しながら行う瞑想です。
「仕事ができていること」「衣食住の心配がないこと」「友人や家族がそばにいてくれていること」など、当たり前だと思っていたことが、実は自分を支える大きな力となっていたことに気づくことで、焦りの心が消え、現状を感謝する穏やかな心を取り戻せるでしょう。
自信を失う
自信を失ってしまったときは、ヨガの経典『ヨーガスートラ』内で紹介されている「サンバンダ」という概念を思い出してみましょう。
サンバンダはもともとサンスクリット語ですが、現代のヒンディー語でもよく使われる単語です。サンバンドには、下記のような意味があります。
- つながり。結びつき。
- 血縁、婚姻などによるつながり。血縁関係、婚姻関係。
- 3. 電話やメールでのつながり。コネクション。
縁や人との結びつきも表す言葉が「サンバンダ」です。ヨガ哲学においては「真の絆」「真実の関係」なども意味があります。
信頼できる相手とのつながりを思い出す
自信を失ったときは、「サンバンダ」を思い出し、自分にとって真の絆を感じられる相手、信用できる友人や家族のことを思い出してみましょう。そして、その人との関係をさらに大切にするよう心がけます。
相手との信頼関係が強固になれば、つながっている実感を得ることができ、それが自分という存在への自信につながるはずです。
自分の影響力を信じる
サムバンダの概念の中心は、「人間は人との関係性の中で生きている」ということ。そして、相手との関係性の中で、必ず自分も相手に対し何か影響を与えているということです。
自分に自信を失っていたとしても、周囲の誰かからは環境を羨ましく思われていたり、性格を尊敬されていたりすることもあるでしょう。
「自分には影響力がある」という意識を持てば、自ずと自信を湧いてくるのではないでしょうか。
まとめ
以上、ヨガ哲学の基本をお伝えしました。
日頃から生活にヨガ哲学を取り入れることで、本来の自分を知ったり、自信や柔軟性を持つことができたりします。不安や苦痛を感じたらぜひヨガ哲学を思い出して実践し、毎日を前向きに過ごしていきましょう!