この記事では、ヨガの流派について解説していきます。
ヨガの流派は数多く存在しますが、その中でも基本的な源流となるものがあります。自分が行っているヨガのルーツや、他のヨガの流派を知ることで、さらにヨガへの理解を深めることができるでしょう。
ハタヨガ
ハタヨガは、現代主流になっているヨガの流派の一つです。現在行われているヨガは、ほとんどがハタヨガだといわれています。ハタヨガは、ポーズを取って行うヨガのスタイル。ポーズを取る目的は、瞑想を行うためだとされています。
ポーズ習得の基準は、「安定して快適」であるかどうかです。
ハタヨガには、さまざまな種類があります。下記、ハタヨガを種類別にまとめたのでご参考にしてください。
アイアンガーヨガ
アイアンガーヨガは、伝統的なヨガに解剖学・心理学を取り入れ改善を加えたもので、骨格に忠実に行い、方向性・バランス・調和を図るポーズが特徴です。B.K.Sアイアンガー氏によって体系化され、世界に広まりました。
「現代のヨガの父」と呼ばれるクリシュナマチャリア氏の弟子であったアイアンガーは、伝統的なヨガの体系や性質を継承しつつも、解剖学や心理学の要素も盛り込み、多くの改善を加え進化させました。
最大の特徴は、真っ直ぐに立つ姿勢「ターダーサナ」を基本としたポーズです。身体の方向性・バランス・調和などを観察し、ゆっくりアーサナを行って骨格に合った姿勢に注意を払います。スタミナを増進させながら、肉体の歪みを矯正していくことができます。また、同時に心理面にも効果があり、安定した集中力とリラクゼーションを体感することができるでしょう。
アシュタンガヨガ
アシュタンガヨガは、ヨガの根本経典『ヨーガ・ストーラ』の八支則に基づいた新しいスタイルのヨガです。型が決まっているダイナミックな(※)ヴィンサヤが特徴です。正式名称は「アシュタンガ・ヴィンサヤ・ヨガ」。
インドのS.Kパタビジョイス氏により考案されました。『ヨーガ・スートラ』で記された「アシュタンガ(八支則)」の教えをもとに、現代人にも分かりやすく具体的に改善された内容です。
特徴は、型が決まっていること。「太陽礼拝(サンサルテーション)」「スタンディング」の各ポーズ、各シリーズのメインポーズ、逆転のポーズ、フィニッシングのポーズから構成されています。途切れることなく呼吸に合わせ、流れるようにポーズを取っていきます。
※ヴィンサヤ・・・ヨガ指導者クリシュナ・マチャリアが創造した、ポーズのダイナミックな流れの中の、呼吸の力を使った運動、瞑想的内観に焦点を当てたシークエンス
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クリシュナマチャリアのヨガ
「アイアンガーヨガ」「アシュタンガヨガ」の考案者の師匠であるK.クリシュナマチャリア氏のヨガです。一人ひとりに合わせてカスタマイズされたヨガで、セラピーを処方し、プライベートレッスンにより心身をヒーリングします。
クリシュナマチャリア氏はヨガについて「メスを使わない手術」を話しています。その人の不調に合わせて個別の呼吸法を教え、ポーズや瞑想、食事や考え方を処方します。ポーズはシンプルで、重視する呼吸法を行うための身体操作をガイドします。
沖ヨガ
沖ヨガは、修正法などの独自メソッドを用いて、「病気」が身体を治していく生命力をサポートするヨガです。
創始者は日本ヨガの草分け的存在である沖正弘氏。ハタヨガ以外にも、ラージャヨガ、ジュニヤーナヨガ、カルマヨガなどを基本に、日本の禅や中国の陰陽道、東洋の伝統医療などを加え、現代生活に合わせて考案したもので、総合的であり、生活的、さらには求道的なヨガといえるでしょう。
特徴的なのは修正法を用いていることで、「健康と病気は対立するものではなく、病気は生命の行う健康回復運動だ」とする考え方のもと、その人が自然に治ろうとする生命力を助けるヨガとなっています。心身のバランスを取ることで、病気が改善するというメソッドです。
クリパルヨガ
クリパルヨガは、ストレスに流されず、ヨガ的な生き方を日常に取り入れることを目的にしたヨガです。
スワミ・クリパル氏の教えに基づいたもので、アメリカのクリパル・ヨガセンターで指導されているものです。心身を一つに捉え、自然の流れにあった、ストレスに流されないライフスタイルを取り入れることに重きを置いています。
自分の求めているものは何なのか知る知恵、自分を回復させる力に気が付き、理解することを目的としています。
クンダリーニヨガ
クンダリーニヨガは、生命エネルギーの覚醒を目指すため行われるもので、「幻のヨガ」とも言われるパワフルなヨガです。
ヨガにおけるクンダリーニとは、「背骨の一番下にある生命エネルギー」のことです。クンダリーニヨガは、※火の呼吸を用いてエネルギーを刺激して、活性化させます。数あるヨガの流派のなかで、特にパワフルだとされています。
実践方法は長い間秘密にされていたことで「幻のヨガ」と呼称されていましたが、20世紀にインド人のヨギ・バジヤンによって公開されました。
※火の呼吸・・・クンダリーニヨガにて行うスピードの速い呼吸。1秒間に2~3回呼吸を行い、鼻から吸い鼻から吐く腹式呼吸。
ホットヨガ
ホットヨガは、高温多湿であるインドの環境に合わせ、室温と湿度が調整されたスタジオで行うヨガのことです。
ホットヨガは、常温のヨガとは切り離され、独自の人気を誇っています。インドの環境を参照し、室温の温度と湿度を管理したスタジオでポーズを取って行います。
たくさんの汗をかくことで自律神経を調整し、デトックス効果も期待できます。冷えなどさまざまな身体の不調に悩む方が実践しています。健康法としてヨガを試す場合、はじめにホットヨガを体験する方が多いようです。
ホットヨガの体験記事
陰ヨガ
陰ヨガとは、キープ時間が長く、その間に自分自身とじっくり向き合うことができる静的なヨガです。
ほとんどのハタヨガは、アクティブに動く陽ヨガであるとされています。その反対に位置するのが、この陰ヨガ。一つひとつのぽーずのキープは数分と長く、その間に骨格が適切に安定するよう自身で動きながら調整していきます。
長いキープ時間の間に瞑想状態に入れることも特徴といえるでしょう。
ラージャヨガ
ラージャとは、サンスクリット語で「王様」を意味します。そのため、「王のヨガ」とも呼ばれるヨガで、ヨガの根本経典『ヨーガ・スートラ』で紹介されている八支則にしたがって瞑想でのサマーディへの到達を実践するヨガです。
カルマヨガ
カルマヨガは、※『バガヴァッドギーター』の中で紹介されているヨガです。自分の役割を未定め、目の前にあることを一生懸命行う。そしてその結果、執着しない生き方を実践していく教えです。
当時、ラージャヨガが出家したバラモンのものだったのに対し、市井の人びとが気軽に行えるのが、このカルマヨガでした。仏教の「業」とは違い、行いに良し悪しは存在せず、行為がその通りの結果になるという考え方です。
バガヴァッドギーター・・・神秘や哲学、宗教観を綴った聖典。英語や古典的な日本語、サンスクリット語などが入り混じる。ストーリー形式で分かりやすくインドの精神を学ぶことができる。
バクティヨガ
バクティヨガは、「信愛のヨガ」として『バガヴァッドギーター』で紹介されています。神や自身が信ずる師匠、そして自分自身に絶対的な愛・行動・思考などすべてを捧げる信仰的なヨガで、インドで広く知られたものです。
「バジャン」や「キールタン」という神への讃歌を歌ったり、マントラを唱えたりもします。また、自身の目に美しく映ったものは、自分の心の反映とも考えられ、神聖な場所や自然の中へおもむくことも推奨れています。
マントラヨガ
マントラヨガは、マントラを唱えたときの振動を心身に共鳴させ、心の乱れを整えていくことを目的としたヨガです。マントラとは、1音節や1フレーズなどの言葉で心の中または声に出して唱えるものです。
集中力が鍛えられ、その響きによって心身が緩むのが分かります。マントラを唱えるのは瞑想的な行為ですが、ポーズを取りながらマントラを唱える方法もあり、一概に静的とはいえないでしょう。
ジニャーナヨガ
ジニャーナヨガとは、「知識のヨガ」ともいわれ、サマーディ(悟り)に到達するために哲学的なアプローチをしていくものです。
経典や経験などを基本原則にしており、真の知性・知識に達することが目的です。一つのことを考えたとき、それが楽なのか辛いのかを判断し、自分を苛む感情との結びつきを切り離すといった精神的な作業を行っていきます。
基本的にアーサナ(ポーズ)などは行わない、よりスピリチュアルなヨガの方法といえるでしょう。
まとめ
以上、ヨガの流派についてご紹介しました。
ヨガの流派の一つひとつに、発祥があり、考案した方の思想があり、コンセプトがあります。自分に合った流派を見つけ、その教えを理解することで、さらに深いヨガ体験ができるのではないでしょうか。
どの流派のヨガを始めようか迷っている方は、各流派を調べたうえで、気になったものを試してみると良いでしょう。実践してみて、自分の身体や心に合うか合わないか実感できることもあります。
ぜひ自分に合ったヨガの流派を見つけ、充実はヨガライフを満喫しましょう!