この記事では、瞑想方法を種類別に解説します。
ヨガには、目的に合わせてさまざまな瞑想法があります。「なかなか瞑想がうまくいかない・・・」「もっと瞑想を深めたい」という方は、自分に合った瞑想方法を調べてみると良いでしょう。
瞑想のやり方は下記の記事でも説明しているので、併せてご覧ください。
阿字観瞑想
阿字観瞑想は、真言密教の瞑想方法の一つで、「阿」という文字に向かい瞑想します。
静かな場所で姿勢を正し、呼吸を整えます。(※)結跏趺坐になり、手を座禅と同様に丸く組みます。「阿」という字を心に思い浮かべ、イメージを徐々に大きくしていきます。たとえば自分の部屋、住んでいる街、都道府県、日本、地球、宇宙・・・。このようにイメージの規模を広げながら自分と対話していきます。
※結跏趺坐・・・坐禅(ざぜん)法の一つで、両脚を組んですわる方法。 跏は足を組み合わせる意、趺は足の甲。 両脚を組み、左右の足の甲を反対側のももの上にのせて安坐する。
座禅
座禅は、姿勢を正し坐った状態で精神統一を行う、禅の基本的な修行法です。禅の目指すところは「解脱」であり、座禅はそのために行う瞑想です。座り方は結跏趺坐が基本ですが、慣れないうちは(※)半跏趺坐でも良いでしょう。
足の上に両手を組んで置き、右手の上に左手を重ねて親指同士をつける。目は閉じず、約1m先、45度前方の床に視線を落とします。上半身を振り子のように左右に振り、口を細く開けて大きく息を吐きます。そのまま動かずに保ちましょう。
※半跏趺坐・・・結跏趺坐(けっかふざ)の略式坐法。 片足をほかの片足のももの上に組んで座る。
TM瞑想
TMとは、「トランセンデンタル・メディテーション」の略で「超越瞑想」という意味があります。哲学者・物理学者のマリハシ・マヘーシュ・ヨーギーによって世界に紹介されました瞑想法です。
床や椅子などに腰掛けてリラックスし、シンプルなマントラを心の中で唱えましょう。心身を深く休息させ、自身の能力を生かせられる状態に導きます。1日20分程度を1〜2回行いましょう。
トラタク瞑想
トラタクとは、もともとハタヨガの浄化方法の一つとされています。
蝋燭の火を見つめて、心を落ち着かせる瞑想法です。リラックスした状態で座り、1~2m離れた場所に蝋燭を置きます。火を付け炎に集中し、自然な呼吸法で心身を落ち着かせます。部屋の明かりを落とし、炎の明るさだけに集中することでより深い瞑想状態に入りやすくなるでしょう。火を使うので、火事などには十分注意しましょう。
脈拍瞑想
脈拍瞑想は、一つの対象へ意識を向け、五感を集中させて雑念から解放される瞑想方法です。自分の脈拍に意識を向けることが重要です。
まずは(※)安楽座になり、目を閉じます。右手の4本の指先を左手首の内側に当て、自身の脈拍を感じましょう。脈拍に合わせ、「サット」「ナム」と言うマントラを心の中で唱えます。これを5分間繰り返します。集中状態とマントラで心を静めていきましょう。
※安楽座(スカーサナ)・・・ヨガの座位ポーズの基本。瞑想の準備の際の座り方。 坐骨と膝を左右均等に保ち、思考や心が落ち着き安定させる。 右足を手前にし、両足のかかとを会陰の前に揃えて膝を開く。
ヤントラ瞑想
ヤントラとは、「神聖幾何学図形」のことを指します。緑や三角、棒などを組み合わせて星や十字の形を作り、イメージを沸かせていきます。
瞑想方法は、まず遠くを見るようにして焦点を外し、ふわっとした意識のなかでヤントラを眺めます。ヤントラをイメージスクリーンに5~15分ほど再現し、イメージが湧いてきたらそのまま瞑想を深めていきます。
数息観
数息観(すそくかん)とは、仏教とともにインドから中国、日本に伝来した、呼吸に意識を集中させる瞑想方法です。現在も禅寺などでは座禅を組んでこの瞑想が行われています。
数息観の一般的な方法は、まず安楽座になって半分目を閉じ、ゆったり呼吸しながら自心の自然な呼吸を観ていきます。自分が今深い呼吸をしているのか、浅い呼吸なのか。吐く息と吸う息で長さが違うかなど、自身のあるがままの呼吸をただ観ていき、瞑想を進めます。
ヨガニードラ
ヨガニードラとは、ガイドに従い、自らのイマジネーションを駆使して行う瞑想方法です。
まずは仰向けになり(※)シャヴァーサナの体勢を取ります。身体の緊張をほぐすためのボディリラクゼーションを行ったあと、身体の細かい部分に意識を向けて心身ともに深いリラクゼーションを体感します。身体は寝ている状態で、意識のみが覚醒している状態でイマジネーションを進めていきます。
(※)シャヴァーサナ・・・サンスクリット語で「屍(しかばね)」を意味する「シャバ」、ポーズを意味する「アーサナ」を組み合わせた言葉。 「屍のポーズ」とも呼ばれ、魂が抜けた屍のように体を動かさず、無の状態になることを指す。
ヴィッパーサナ瞑想
ヴィッパーサナとは、「物事をありのままに見つめる」という意味です。ヴィッパーサナ瞑想はインドで最古の瞑想方法の一つとされており、約2500年前にゴーダマ・ブッダにより再発見されたといわれております。
瞑想方法は、心に起こることを判断せず、自分の感情や感覚を素直に噛み締めます。そして、次に起こる心の動きを同じように感じていくことで瞑想を深めていきます。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、現代に注目され始めた瞑想法です。マインドフルとは「今この瞬間、自分はここにいる」という意識です。今に集中し、夢中になることともいえるでしょう。この言葉は瞑想だけでなく、仕事や趣味、食事中などでも大切にするべき考え方です。今、この一瞬一瞬に集中して豊かな時間を実感しましょう。
方法は、静かに座り、自分の呼吸に注目することで集中し、「今」を積み重ねていきます。集中力や直感力、想像力などが引き出され、脳の疲労回復やうつ病解消にも効果があるとされています。
まとめ
以上、瞑想の種類ややり方について解説しました。瞑想の一口にいっても、さまざまな種類があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
より自分が集中できる方法や、目的に合ったものを選ぶことでさらに深い瞑想状態を体感できるでしょう。気になったものは試してみて、より瞑想に入りやすいものを続けていくことをおすすめします。
参考:『ヨガが丸ごとわかる本』(2016)枻出版 Yogini編集部