質の高い睡眠は、充実した日々を送るための大切なヒントになります。現在体調不良や精神の落ち込みなどで悩んでいる方も、睡眠不足が原因かもしれません。
この記事では、質の高い睡眠のためにできる大切なことをご紹介します。併せて睡眠から得られる嬉しい効果や睡眠不足が引き起こすリスクについても解説します。
睡眠時間や睡眠環境、食生活や生活習慣を改善することで、睡眠不足が解消され、健康的に毎日を送れるでしょう。ぜひこれを機会に質の高い睡眠を手に入れましょう。
睡眠と身体と脳
睡眠と身体には、深い関わりがあります。睡眠不足になると疲労が蓄積され、眠気が続いて身体の動きも鈍くなっていきます。
睡眠をとることで身体が軽くなり、頭も働きやすくなります。それは、睡眠中に身体と脳、両方を休息させているからです。そのため、身体の脳のためにも、睡眠は非常に大切ということになります。
特に睡眠は、脳の発達に大きな影響を与えます。レム睡眠中に大脳は活性化し、脳を育て、創る役割があるとされています。
寝る子は育つ
「寝る子は育つ」という言葉があります。これは、睡眠の間に成長ホルモンが分泌されるという仕組みからできた言葉です。睡眠は人間の成長に重要な活動だということがよくわかりますね。
睡眠不調の兆候!6つのチェック項目
まずは、自分自身が睡眠不調なのか、チェック項目を見てみましょう。
- 最近疲れやすい
- 注意が散漫になっている
- 集中力がないと感じる
- よく苛立ってしまう
- ストレスを感じることが多い
- つい食べすぎてしまう
- よく苛立ってしまう
上記のような症状は、睡眠不調の初期症状として主に挙げられるものです。普段眠気を感じていなかったり、睡眠不足の自覚が無かったりしても、実はあなたの身体は睡眠時間や質が足りていないという恐れもあります。自覚なく睡眠不調が進行するのを防ぐためにも、質の高い睡眠を目指していきましょう。
睡眠のから得られる7つの効果
次に、睡眠から得られる嬉しい効果について確認していきましょう。睡眠をしっかり取ることで、「疲労回復」「肥満防止」「免疫力向上」などの効果が得られます。下記で詳しく見ていきましょう。
1.疲労回復
睡眠には、疲労回復効果があるとされています。睡眠は、主にノンレム睡眠とレム睡眠が交互に繰り返されます。その中でも、深い睡眠と言われるノンレム睡眠がしっかり得られれば得られるほど、体内の修復や回復を促す成長ホルモンが分泌され、代謝活動が促進されるといわれています。しっかり眠ることで、身体だけでなく脳も休めることができます。
ノンレム睡眠とレム睡眠
睡眠中というと、基本的には体を動かさず目を閉じ、横になって状態を指すでしょう。人間が寝ている姿は、外から見ると何ら変わりはなく見えても、実は「ノンレム睡眠」「レム睡眠」という2つの異なる睡眠状態を90〜120分の間で交互に繰り返しています。
一般的に「ノンレム睡眠」は深い眠り、「レム睡眠」は浅い眠りを指し、この2つの睡眠サイクルを一晩4〜5回繰り返すとされています。睡眠の8割がノンレム睡眠、2割がレム睡眠とされており、どちらも重要な生命活動を作り出す役割があります。
睡眠サイクルのなかで最も深く眠りに付いているのが、1周期目の「ノンレム睡眠」で、この最初の90分は「黄金の90分」と呼ばれています。
睡眠中に「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」、異なる2つの睡眠を繰り返すことにより、脳や身体の活動が行われます。初めの深い眠り(黄金の90分)で脳下垂体から「成長ホルモン」が分泌するとされています。この成長ホルモンは人間の骨格形成を促し、身長を伸ばす、疲労の回復、ホルモンバランスの調整などさまざまな活動が行われます。
2.肥満防止
質の高い睡眠は、肥満防止にも効果的です。食欲を抑えることで、ホルモンを適切に分泌させることができます。食欲を抑えることで余分なカロリー摂取を防ぎ、代謝促進にもつながります。
逆に睡眠不足が加速することで、グレリンの増加・レプチンの低下などの症状が起こり、食欲がコントロールできなくなってしまうことも。日常活動が低下し、代謝が落ちてしまうリスクもあるでしょう。日常活動を行わないことで代謝も低下気味になり、肥満につながります。
このように、しっかり睡眠を取ることで代謝を促進するホルモンが働き、太りづらい身体を作りあげることができるでしょう。質の高い睡眠をしっかり取ることで代謝を促し、肥満防止につながります。
睡眠がもたらすダイエットの嬉しい効果
ダイエットや健康維持において、睡眠はとても重要です。しっかり睡眠を取ることで、睡眠することで記憶力向上、免疫機能の維持、糖代謝の調整、脂肪代謝促進、筋肉量を保つなどさまざまな嬉しい効果があります。食後は2〜3時間空けてから眠るようにしましょう。22時〜2時の間は、成長ホルモンの分泌量がアップします。
3.免疫力の向上
十分と睡眠を取ることにより、免疫力向上や維持の効果も期待できます。
睡眠不足の状態に陥ると、ホルモンバランスが乱れ、免疫機能の働きが鈍くなってしまうことも。睡眠を十分に取らないことで病気にかかりやすくなるのも、このためといわれています。
睡眠時間がしっかり取れないことにより免疫力が低下すると、自ずとウィルスに感染しやすくなると言う結果にもつながるでしょう。予防ワクチンや薬を飲んだとしても、質の高い睡眠が取れていなければ、効果が薄くなることもあるようです。
しっかり睡眠を取り、ウイルスに負けない身体を作りましょう。
免疫力を高める睡眠時間
それでは、免疫力を高めるためにはどの程度睡眠を取れば良いのでしょうか。Kripkeの追跡調査では、成人では6.5〜8時間の睡眠時間が最も健康被害が少ないという結果が出ています。毎日7時間程度は睡眠を取ることで、免疫力を高める身体作りをすることができるでしょう。
4.集中力アップ
睡眠不足を解消することで、集中力アップも期待できます。
自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、人間の生体活動によってバランスを取っています。
人間は日中の交感神経が優位になることで、より活動的になるといわれています。交感神経が優位な状態になると、血糖値・脈が上がり、筋肉の働きが活発になり、集中力もアップします。
一方睡眠中は、副交感神経が優位にな状態になります。副交感神経が優位になると、血圧・脈が落ち着いていくとされています。
睡眠をしっかり取ることで、自律神経のバランスが保たれ、集中力が上がり、健やかに日中の活動を送れるでしょう。
昼の神経と夜の神経
自律神経である交感神経と副交感神経は、「昼の神経」「夜の神経」とも呼ばれています。
「昼の神経(交感神経)」 :外的刺激すばやく反応。血圧を上げ、精神活動を活発にする。優位になることで身体が活動しやすい状態に。
「夜の神経(副交感神経)」:ゆるやかに反応。呼吸や心拍数を下げ、身体の回復・精神のリラックスを促す。睡眠にも関与する神経。
5.精神の安定
睡眠をしっかり取ることで、精神も安定するといわれています。
質の高い睡眠を取り続けることで、不安やストレスが減退します。日中の訳もない苛立ちや不安感、ストレスなどは、しっかり睡眠を取れていないことから起こる可能性も少なくありません。
すっきりと目覚められなかったことで気持ちも落ち込み、日中の活動に影響が出てしまうリスクもあるでしょう。
「最近気持ちが沈みがち」「理由もないのに苛立ってしまう」という方は、きちんと睡眠を取り、身体と心をリセットしてみると良いでしょう。
また、気持ちが落ち込むことで眠れなくなってしまうという方は、まず精神が不安定になっている原因を突き詰め、解決することが大切です。一人で抱え込まず、周囲に相談してみるのも良いでしょう。
6.美肌効果
しっかりと睡眠をとることで、肌質が良くなることもあります。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌のターンオーバーを向上させる作用があり、その結果美肌を手に入れることもできるでしょう。眠った後、20分~30分後に最も深い睡眠(レム睡眠)が訪れます。このレム睡眠の時間に成長ホルモンが分泌され、肌の修復が行われます。ノンレム睡眠の時間が多ければ多いほど、成長ホルモンが分泌され肌に良い影響をもたらします。
肌の細胞が生まれ変わる「ターンオーバー」
ターンオーバーとは、肌の細胞が一定周期で生まれ変わる仕組みのことです。肌は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つが重なってできています。ターンオーバーは、その中でも肌の一番外側にある表皮で起こります。表皮は、肌の外側から順番に「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の四層に分けられます。このなかでも、表皮の一番内側にある基底層で作られた細胞が分裂し新たな細胞を作り、形を変化させながら肌の外側層に向かって押し上げられていきます。ターンオーバーは、角層までたどり着いた細胞が垢となって剥がれ落ち、表皮の細胞が生まれ変わるという仕組みです。
7.記憶の定着
睡眠を取ることで、記憶が定着する効果があります。
睡眠には、覚醒時の自身の体験を整理し、「記憶」として脳に定着させるという大切な働きがあります。
深い睡眠(ノンレム睡眠)で、体験から得た事柄や自身の感情などをきちんと整理し、浅い睡眠(レム睡眠)時に、記憶として定着させます。そのため、しっかりと睡眠時間を取ることでノンレム睡眠とレム睡眠が安定したリズムで訪れ、記憶を定着させていくことができるのです。
しっかり睡眠時間を取り睡眠のリズムを作ることで、記憶を精査することができます。質の高い睡眠を取り、自分にとって不要な感情や体験を取り除き、有益な記憶を定着させましょう。
短期記憶より長期記憶
先述したとおり、睡眠中は、覚醒時に起きた出来事や感情、覚えたことの記憶を整理し定着する効果があります。記憶の定着は、勉強をしていくうえでも非常に重要です。睡眠は、短期記憶よりも長期記憶に重要な役割を果たすとされているので、日常的に覚えておきたい知識などは、しっかり眠ることで定着させましょう。
質の高い睡眠のためにできる5つのこと
それでは、質の高い睡眠のためにできる7つの項目を見ていきましょう。
1.規則正しい生活
快眠は、規則正しい生活から生まれます。日中は健康的に活動や運動をして、朝昼晩きちんと食事を取ることで、質の良い睡眠を得ることができるでしょう。大切なのは、規則正しく生活することです。身体の中には体内時計があり、睡眠のタイミングや、ホルモン分泌に必要な生理的な活動を調整し、睡眠に備えます。こうした睡眠への備えは、自分自身でコントロールできるものではありません。規則正しい生活を日々行うことで、身体にプログラムされる能力だと捉えましょう。
2.運動を習慣化する
運動を習慣化させることで、寝つきがよくなるとされています。特に眠る3時間ほど前の、夕方から夜にかけて行うことで脳の温度が一時的に上がり、眠る際にその温度がさがりスムーズに眠りに付くことができます。ただし、眠る直前の運動は、身体が興奮状態になり眠れなくなるので避けましょう。
3.寝る2~3時間前に入浴
入浴する時間に気を付けることで、格段に快眠への道が開かれます。2〜3時間前に入浴することで、眠りに付きやすくなるとされています。入浴先ほど説明した運動する時間と同じ理屈で、就寝前に体温を一時的に上げる効果があるからです。そのため、早い時間の入浴ではなく、就寝2〜3時間前に入るよう心がけましょう。直前に入眠は寝付きを悪くするリスクもあるので、できれば避けることをおすすめします
4.食生活を変える
食生活を変えることで、睡眠の質も上がる可能性が高いです。肉類や魚類には、グリシンと呼ばれる栄養素が多く含まれています。グリシンは、睡眠の質を向上させる効果があるので、積極的にとっていくと良いでしょう。また、朝昼晩きちんと食事を取り、エネルギーを身体に取り込むことも重要。エネルギー不足になり日中の活動が低下してしまえば、睡眠にも影響を及ぼしかねません。
また、コーヒーやチョコレートなどカフェインが含まれる飲み物・食べ物は、覚醒作用があるとされています。人によっては睡眠前に取ることで眠りづらくなってしまうこともあるので、就寝前にカフェインを取るのは控えるのが無難です。
5.寝具を変える
睡眠不調を感じる方は、寝具を変えてみるのも手です。
睡眠中、眠りを保つため身体は常に発汗しているとされています。そのため、吸湿・放湿性が良く、保温性の高い寝具がお勧めです。敷布団やマットなどは適度に硬く、身体が深く沈み込みすぎないものの方が眠りや水でしょう。掛布団は身体にフィットしやすく、軽いものの方が寝苦しくなく快適です。枕は自分に合った硬さや高さで安定感のあるものが良いでしょう。
参考:e-ヘルスネット
まとめ
以上、睡眠がもたらす嬉しい効果や、質の高い睡眠のためにできることについてご紹介しました。
身体の不調や日々の苛立ち、集中力の低下などを感じている方は、一度自身の睡眠を見直してみると改善できるかもしれません。ほかにも、肥満防止や美肌効果など、美容面でも睡眠の効果は絶大。きちんと睡眠を取ることで損はないので、ぜひ意識して質の高い睡眠を取り、健康的で充実した毎日を目指したいものですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!